父が私の名前を呼ばなくなったのは、去年の秋のことだった。

施設から電話があって、「今日、少し様子が変で」と言われた。急いで行くと、父はベッドに座って窓の外を見ていた。私が「お父さん」と声をかけると、振り向いた。ちゃんと振り向いた。でも、その目に何も浮かばなかった。

「どなたですか」と父が言った。