結論からお伝えします
相続したのが家だけで現金がない場合でも、相続税の支払い方法はいくつかあります。「現金がないから払えない」という状況は、方法を正しく知れば乗り越えられます。ただし、時間が限られているため、早めに動くことが肝心です。
相続したのが家だけで現金がない場合でも、相続税の支払い方法はいくつかあります。「現金がないから払えない」という状況は、方法を正しく知れば乗り越えられます。ただし、時間が限られているため、早めに動くことが肝心です。
## まず相続税がかかるかどうかを確認する
相続税には基礎控除があります。「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」が非課税枠です。
たとえば相続人が子ども2人の場合、3,000万円 + 600万円 × 2 = 4,200万円までは相続税がかかりません。
相続財産が実家だけで、その評価額(路線価や固定資産税評価額をもとに計算した相続税評価額)が4,200万円以下であれば、そもそも相続税は発生しません。
豊田市・岡崎市の郊外に立つ一般的な戸建て住宅の場合、土地・建物の相続税評価額が基礎控除以内に収まるケースも少なくありません。まず評価額を計算することが最初のステップです。
## 相続税がかかる場合、支払い期限は10ヶ月
相続税の申告・納付期限は、被相続人(亡くなった方)の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内です。この期限は延長できません。
現金がない場合の選択肢は主に3つあります。
## 選択肢1:売却して納税する
もっとも一般的な方法です。実家を売却して得た代金から相続税を納付します。
注意点は「時間」です。相続から10ヶ月以内に売却を完了させ、資金を確保しなければなりません。豊田市・岡崎市の一般的な戸建て売却では、売り出しから引き渡しまで3〜6ヶ月かかることが多いです。つまり、逝去後できるだけ早い段階(遅くとも3〜4ヶ月以内)に売却の準備を始めないと、納期に間に合わない可能性があります。
また、「取得費加算の特例」を活用できる場合があります。相続開始の翌日から3年10ヶ月以内に売却した場合、相続税額の一部を売却の取得費として計上でき、譲渡所得税の負担が軽減されます。
## 選択肢2:延納(分割払い)
一時的に現金がない場合、相続税を年賦で支払う「延納」という方法があります。
延納できる条件は、(1)相続税額が10万円を超えること、(2)金銭で一時に納付することを困難とする事由があること、(3)担保の提供が可能なこと(担保が必要な場合)、(4)申告期限内に申請書を提出することです。
延納の期間は原則5年、不動産が財産に多く含まれる場合は最長20年の延納が認められることがあります。ただし、延納税額に対して年1.2〜1.6%(2024年現在)の利子税がかかります。
## 選択肢3:物納(不動産で納付)
現金がなく延納も困難な場合、相続した不動産そのもので税を納める「物納」という方法があります。
ただし物納には厳しい条件があります。物納できる不動産は「管理処分不適格財産」(権利関係が複雑なもの、境界が確定していないものなど)には認められません。また、物納の価格は国が定める評価額(時価よりも低いケースが多い)になるため、市場で売却するよりも手取りが少なくなることがほとんどです。
物納は「最後の手段」と考え、売却や延納の可能性を先に検討することをお勧めします。
## 「家しかない」状況で特に重要なこと
相続税の申告期限(10ヶ月)は思いのほか短く感じます。特に、相続登記が済んでいない状態では、売却の手続きを進めることができません。2024年4月から相続登記が義務化(期限3年)されましたが、売却のためには速やかに登記を完了させる必要があります。
また、相続税の申告は税理士に依頼するケースが多く、その選定・依頼にも時間がかかります。不動産の売却と税理士への依頼を並行して進めることが、時間的に最も効率的です。
## 豊田市・岡崎市での事例について
豊田市や岡崎市の案件では、土地の評価が市街地と郊外で大きく異なります。路線価が設定されていない地域では「倍率方式」で評価されます。同じ坪数でも、エリアによって相続税評価額が数百万円単位で異なることもあります。
地域の実情を知ったうえで、税理士と連携しながら売却の進め方を整理するサポートを、私は豊田市・岡崎市の両エリアを一人でカバーする不動産エージェントとして行っています。「とりあえず現状を整理したい」という段階からご相談いただけます。
## 整理:「家しかない」場合のチェックポイント
- 相続税評価額を計算し、基礎控除と比較する(課税されるかどうかの確認) - 申告期限(逝去の翌日から10ヶ月)から逆算してスケジュールを立てる - 相続登記を速やかに完了させる(登記なしでは売却不可) - 売却・延納・物納を比較して最適な納付方法を選ぶ - 取得費加算の特例(3年10ヶ月以内の売却)を見逃さない
「お金がない、家しかない」という状況は、決して珍しくありません。正しい順番で動けば、選択肢は必ずあります。
相続税の見通しが立ったあとの売却全手順は、豊田市で相続した不動産を売却する全手順・岡崎市で相続した不動産を売却する全手順にまとめています。