母を施設に送り出したのは、去年の秋だった。

岡崎市の実家から施設まで車で30分。荷物をまとめて、部屋の鍵を閉めて、母を助手席に乗せた。母は「どこ行くの」と何度も聞いた。「新しいところに行くよ」と答えるたびに、また同じ質問が返ってきた。認知症が進んでいた。

施設について手続きを済ませ、職員に母を引き渡した。私は駐車場まで歩いて、車に乗ってから泣いた。